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お客の立場に寄り添うクレーム処理とは!?

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 五つ星高級ホテルのクレーム処理は、唸るほど素晴らしかった。

 某月某日、或る五つ星ホテルのテナントである高級中華料理レストランで、コース料理に加えて乾燥鮑のステーキをオーダーした時のことである。

 フォークを刺して、ナイフを入れようとすると、ちょうど鮑の中心部で、ナイフの刃が硬いところに当たったような振動が右手指先に伝わってきた。

 断面を見ると、中心部が若干白っぽい。これは、乾燥鮑の戻し方にも問題があるが、味付けも煮込み方も十分ではなかった。

 最高の乾燥鮑であれば柔らかく、力を入れずにスルッと切れる。断面が美しい層になり、口に含み噛めば噛むほど鮑の濃厚な味が滲み出て、絡むソースが後追いしてくる。

 とうとう我慢できずに、料理長へその旨を告げて、コンプレを決めた。料理長は怪訝な表情に変わったが、25分後にもう一度作ってくると言って、厨房に戻って行った。

 その後、二度目の乾燥鮑のステーキがテーブルにサーブされた。残念ながら、最初のものとほぼ同じ物である。よって、鮑の中心部に違和感がある。勿体無い話だが、一口食べて後は残すことにした。

 乾燥鮑の違和感の詳細については、部屋に戻り、総支配人宛に手紙をしたため、翌日のチェックアウト時にフロントで渡すことにしたのである。

 出張から戻り、一週間もしない内にオフィスに届いた同ホテル総支配人からの書簡。美しい便箋には、以下のメッセージが書き添えられていた。

 「他の役員と共に、同レストランで乾燥鮑の試食を行いました。仰る通り本来の乾燥鮑ではありませんでした。早期改善を致しますので、次回、お越しになられた時に、是非、ご試食を願えればと存じます。」と。

 それから1ヶ月後に同ホテルの中華レストランへ行くと、写真下(イメージ)のように、完成度の高い乾燥鮑のステーキがサーブされたのである。ほっぺが落ちるとは、このことだ。筆舌に尽くし難いほど美味であった。

 加えて、部屋はスタンダードルームを予約していたにも関わらず、3ランク上のだだっ広く、マラソンができるほどゴージャスな部屋にランクアップされている。

 こちらの苦言を真摯に受け止めて頂くばかりか、早急に事実確認を行い、最高のものを提供するという姿勢には驚かされた。お客の立場に寄り添ったクレーム処理については、気の毒なほどに感謝するしかなかった。

 これが、超一流と言われる五つ星ホテルのクレーム処理の初動と流れである。よって、二度も三度も何度も足を運びたいホテルとして、また、最高に信頼度の高いホテルとして敬意を表する次第。

 当時の総支配人は定年退職されているが、その素晴らしい人格が滲み出るような書簡も大切に保管しており、お陰様で、筆者がセミナーで語る「ホテル文化と食文化」の原点なるものを学ばせて頂いたように思える。

 このような五つ星ホテルが熊本にあれば、この地の「ホテル文化と食文化」が飛躍的に向上するのではなかろうかと思うばかり。残念ながら、このように最高のクレーム処理ができるホテルは皆無である。

※コンプレはしたものの、ちゃんとお代は全額支払いをしている。
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写真・文責:西田親生


             

  • posted by Chikao Nishida at 2023/8/6 12:00 am

和食の不思議な魅力・・・

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 シティホテルのキュイジーヌは大きく分けて、日本料理(和食)、西洋料理(フレンチ、イタリアン、その他)、そして中国料理(北京、上海、広東、四川、その他)となる。勿論、街場の人気レストランを見回すと、海外の料理は筆舌に尽くし難いほど多種多様となる。

 標題に「和食の不思議な魅力」を挙げたのは、和食には日本流唯一無二なる弁当(lunch box)にある。最近ではパリでも人気急上昇中と聞き及んでいるが、この弁当こそが「和食の不思議な魅力」を牽引している。

 上述の料理群は、基本「熱々で食す」が原則と言えよう。和食においても熱々の吸い物が心を癒し、熱々の秋刀魚の塩焼きが堪らない。

 ところが、日本の弁当は、電子レンジで温めても良いけれども、冷めたまま食しても乙なもの。筆者は、個人的には、オニギリを温め直すよりも、そのまま冷たいオニギリを頬張るのが楽しみだ。

 焼き魚もその他惣菜も、弁当箱の蓋を開けて、そのまま冷めたまま食すと、「日本人でよかった!」と心の中で叫びながら、黙々と各々の惣菜をつまみながら、間に白ごはんを頬張り、オニギリに齧り付く。

 しかし、西洋料理や中国料理も弁当にはできるが、全て冷めている場合、どうしても違和感がある。ステーキにフォアグラがトッピングされたものが弁当に入っていれば、それは温め直して食す方が断然美味い。

 また、中国料理にしてもエビチリやシュウマイ、春巻きなどを冷めたまま食べようとは思わない。五目野菜の煮込みやフカヒレスープも同様に、流石に冷めたものは、熱々のものとは格段の違いがある。

 それに対して、和食の弁当は、出来立てでも、温めても、そのまま冷めていても、何の違和感もなく美味しく食せるところが、すこぶる不思議に感じる。

 塩サバを焼いたものが熱々でも冷めていても、食欲を唆る。冷めたオコワも何度も噛んでいると、じわじわと小豆と餅米が踊りだし、胡麻塩との共演を楽しめる。

 ただ、温暖化が進む中で、特に夏場の弁当の取り扱いは非常に気を遣わねばならないが、冷たく保存している握り寿司もそのままの状態で食して至福の極みとなり、冷めた吸い物のウズラの卵もすこぶる美味い。

 世界でも稀有なる日本独特の弁当文化。これは先人の生活の知恵と工夫が凝縮されて完成の域に達したと推察するが、これほどまでに料理の温度に左右される事なく、美味なるものを創り出した日本人は実に素晴らしい。

 これが『和食の不思議な魅力』ではなかろうかと、深夜に小腹が空きつつ、この原稿を書き綴ったのである。深夜に見てはいけないものを見てしまい、大変後悔している次第。

▼「日本料理えのきぞの」のコース料理
https://www.dandl.co.jp/enokizono/Link
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▼「日本料理えのきぞの」の土鍋焚き立てご飯
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▼「松島観光ホテル岬亭」のヒラメとイセエビのお造り
https://www.misakitei.co.jpLink
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▼「松島観光ホテル岬亭」のウツボのお造り
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▼「松島観光ホテル岬亭」のアズキアコウのお造り
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▼「松島観光ホテル岬亭」の八寸
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▼「ステーキハウス蜂」の黒毛和牛ハンバーグとフォアグラ
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▼「四川料理 桃花源」のフカヒレ姿煮湯麺
https://www.hotel-castle.co.jp/restaurant/tokagen/Link
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▼「四川料理 桃花源」の乾燥鮑のステーキ
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▼「ダイニングキッチン九曜杏」の和食
https://www.hotel-castle.co.jp/restaurant/kuyoan/Link
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▼「ダイニングキッチン九曜杏」の洋食
washoku20230720-12



◎逸品一筆
https://note.com/chikaonishida/m/m8168b0aad056Link
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文責:西田親生


               

  • posted by Chikao Nishida at 2023/7/20 12:00 am

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