■クッキーを啄む雀さん
翌日の取材スケジュールをグランドハイアット(バンコク)1階で打ち合わせをしていたところ、3羽の雀が突然我々の5メートル先のテーブルの上に舞い降りてきた。
雀は日本では見慣れた鳥だが、都市部に住んでいるのか毛並みは悪く全体的に痩せて汚れているようだ。珈琲に付いてきたナッツ入りクッキーを小割りにして、周りを気にしながらホテルスタッフに気づかれないようにそっとフロアへ1粒投げてみた。雀たちは物怖じすることもなく、そそくさとその1粒クッキーを啄んだ。
少しずつ我々のテーブルに近い位置にクッキーの粒を投げてみた。だんだんと近づけて行くと、雀たちの警戒心が強くなり、啄むのに時間がかかるようになってきた。それでも空腹で人慣れした雀さんたちは最短50センチまで近づき、クッキーの破片を口に入れて行く。
超一流ホテル・グランドハイアットの玄関近くの喫茶スペースに似つかわしくないような光景だが、我々は必死になってクッキーの粒を投げ続けた。結局、大きすぎた粒は口には入れなかったが、その後も3羽の雀さんたちは我々の会議内容を傍聴し続け、クッキーを待っていたようだ。
我々も背後に視線を感じ、振り返ってみると・・・ホテルのスタッフたちは、我々の餌付け作戦の全容を静かに笑顔で見守っていたようであった。
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