早朝、スーパースターレオの部屋のデッキに立つと、そこはベトナム・ハロン湾であった。朝靄に浮かぶ島々は、こんもりと丸っこい不思議な形をしていた。同客船は大きすぎて、その港に接岸できないので、サイゴンツーリスト手配の観光船に分乗して、不思議な島々を巡る。

　観光船が島々を巡る間に、現地の漁船が何度も近付いては物売りやお金をねだる。３〜４歳くらいだろうか、小さな子供が漁船天井にのぼり、人さし指を小さく動かして観光客を招く姿に侘びしささえ感じる。一瞬間、平穏な日本を思い出した次第。最近、日本国内の学校ではゴージャスな修学旅行（教育旅行）が増えているが、このような貧しい人々の生活を直視させるのも良い社会勉強になるのではないか。 　

　港桟橋に上陸し、昼食にベトナム料理を食し、市場に買い物に出かけた。青いテント張りの露店には、陶芸品、民芸品や雑貨の山々。約１時間程のショッピングであったが、掘り出し物も結構多かったようである。・・・帰りの観光船に乗船する手前で大きな溝鼠の見送りがあったのが実に印象的であった。世界遺産の幻想的な景観とは別世界の、貧しいベトナム庶民の姿を垣間見てしまった。