THE ROSETTA NEWS

田舎の民話シリーズ (2)

天草松島の民話・松島観光ホテル岬亭提供
経どまり新地

 経どまりん新地は、熊本県天草んまっちま町ん合津にありますばい。あんだろがい、たいぎゃぁ昔にこん側に、男ん池と女ん池があったってたい。そん男ん池にゃ、銀ん煙草ん入れや、煙管どんあって、朝日んあたれば、そるが光ってぐるんぐるん廻んながら浮いとったってたい。たまにゃん金の湯呑みじゃわんの浮かんどったってたい。女ん池にゃ、銀んかんざしん、櫛ん、指輪んごたるもんの陽ん光んあたってぐるんぐるん廻っとったってたい。

 こんこつが噂んなって、隣保班ん人ったちが尋ねち来て、池ん中んそん宝もんば取ろうごつすっとばってんが、だ〜んもおっ取るこたぁでけんだったってたい。取るよっも、そん池んはまってしもて、どがんもこがんも上がれんで、きゃあ溺れちうっちんでしもたってたい。だけんが隣保班んの人が話し合うて、教良木ん金性寺んお和尚さんにお経んばあげてもろたってたい。そがんしたら、池ん宝ん物が浮いてぐるんぐるんまわっとっとが、うっ止ってしもて、そん後は、欲ん深かか男んしや女んしは溺れんごつなったってたい。そっから、ここん干拓さしたときに、新地んがきゃあでき、そん名前ば付くっ時、こん言い伝えばそんままおっ取って、「経どまりの新地」と名付けたってたい。


■訳■

 経どまり新地は、熊本県天草郡松島町の合津と言うところにあります。昔々ここには、男池と女池があったそうです。男池には、銀の煙草入れや、煙管があり、朝日が出るとそれが光ってくるくる廻りながら浮かんでいたそうです。又、時には金の湯呑が浮かんでいる事もあったそうです。女池には、銀のかんざしや、櫛、指輪などがこれも陽の光を反射してくるくる廻っていたといいます。

 このことが評判になり近隣の人々が尋ねてきては、池の中からその宝物を取ろうとしましたが、誰一人として取る事が出来なかったそうです。取れないどころか、その池に入って二度とあがる事が出来ず、溺れ死んでいったと言われています。そこで地区の人たちが相談して、教良木の金性寺の和尚さんを頼んでお経をあげてもらいました。そうすると、池の宝物が浮いてくるくる廻るのが、ぴたりと止まって、それ以来、欲の深い男女が溺れなくなったと言い伝えられています。その後、ここが干拓されて、新地ができ、その名前を付ける時、この言い伝えをそのままとって、「経どまりの新地」と名付けたと言う事です。

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